「もうグラフに移った?」——ループの次に来た言葉が指しているもの

ループエンジニアリングと呼ばれた設計が、1か月でグラフと呼ばれ始めた。ここで言うグラフとは何を指しているのか。実行中に組み替えられるLangGraphと、実行前に固定して検証する設計が、同じ言葉で別々の自由を守っている理由を詰めた。


莉緒

莉緒

葉月

葉月

莉緒
莉緒
うん、みずきさんからお便り来てるね。「ちょっとまでループエンジニアリングと騒がれていたLLM界隈だけど、今はもうグラフエンジニアリングと言われている。ここでいうグラフってなんだろ?」だって。呼び名がすぐ入れ替わって置いていかれる感じ、わかるよ。ここでのグラフはネットワークの絵とかじゃなくて、処理の流れを表す設計図——状態機械のことだから、そこから話そっか。4
葉月
葉月
うん、それが公式の言い方。実際にそれを動かす仕組みの一つがLangGraphっていう、エージェントの処理の流れを組むための土台で、2024年1月に出てるやつだよ。部品は3つあって、共有される状態=State、状態を受け取って更新を返す処理=Node、次にどこへ進むかの規則=Edge。つまり流れそのものはEdgeが管理して、各処理は共有のStateに書き込むことで情報を渡し合うの——ここまでは押さえておかないと、この先の話が空中戦になっちゃう気がする。4
莉緒
莉緒
それだけだと片方しか見えてないよ。もう一つ、2026年4月に出た論文があって、こっちはLangGraphから2年以上あとに出てきたやつ。エージェントのループが持つ暗黙の依存関係とか無制限の再試行、実行履歴が毎回変わっちゃう点を弱点として挙げて、実行計画を事前に固定するDAG——有向非巡回グラフ方式を提案してる。しかもこの論文、LangGraphを名指しして、実行中でも処理や経路を足したり消したりして流れそのものを組み替えられる点をわざわざ対比してるんだよ。ただこっちは未実装で実験もされてない設計案止まり、LangGraphは本番でもう動いてる基盤ってところは分けて話さないとまずいでしょ。5
葉月
葉月
その論文、名指しで対比してる割には自分の方が優れてるとは言ってないんだよね。LangGraphとの違いを「構造ではなく思想の差」って書いてて、両者を補完的な設計点だと位置づけてる。目安も出してて、探索的な調査とか途中で構造が決まっていく創作系の仕事は柔軟なLangGraph型、依存関係を先に書き出せて検証が要る仕事は固定型のDAGが向くって整理だよ。5
莉緒
莉緒
そこの整理はわかった。じゃあ時系列の方をわたしが渡すね。呼び名の話は全部この1か月に収まってるんだよ。2026年6月7日にスタインバーガーが投稿して、同じ日にオスマニがそれをLoop Engineeringって名付けた。で、そのおよそ1か月後の7月に「もうグラフに移った?」って問いかけたのは、名付けたオスマニじゃなくて投稿した本人のスタインバーガーなんだよね。一方でLangGraphは2024年1月公開、論文は2026年4月公開だから、道具の側は2年以上前から動いてる。呼び名は1か月で入れ替わってるのに、道具のスケールはそれより全然長いってところ、混ぜて話しちゃうと危ないでしょ。1234
葉月
葉月
うん、そこは二本の時間軸で見ないと危ない。呼び名の方は2026年6月7日にスタインバーガーが投稿してオスマニが同日にLoop Engineeringと名付け、そのおよそ1か月後の7月にスタインバーガー自身が「もうグラフに移った?」って言い出す——ここは全部1か月で完結してる出来事だよね。対して道具の方はLangGraphが2024年1月公開でそこから2年以上、論文が出た2026年4月ですらLangGraphより2年遅い。呼び名が1か月で入れ替わってるからって、道具そのものが1か月でできたわけじゃないってことだよ。1234
莉緒
莉緒
面白いのはそこで問い直したのがオスマニじゃないってところだよ。名付けたのはオスマニなのに、自分の言葉を疑い直したのは最初に投稿したスタインバーガー本人。名付け親が『これでいく』って保証してくれてるわけじゃなくて、言い出した本人すら1か月後には自分の言葉を疑ってるんだから、呼び名なんてその時点でまだ全然固まってないって受け取った方が安全でしょ。3
葉月
葉月
呼び名が固まってないってことには同意するけど、それだけだと「グラフって結局何が変わったの」まで答えられなくない?ループの中にif文で書く分岐と、Edgeとして書く分岐、ロジックの内容自体は同じなんだよね。違うのは、if文は動かすまで外から見えないのに対して、Edgeとして書いた瞬間にその分岐が実行前から見える構造になる。固定型のDAGはそれをもう一歩進めて、実行前に経路を確定させて検証できるようにする代わりに、実行中に新しい情報で経路を組み替える自由を手放してるんだよ。
莉緒
莉緒
それでも解決してる範囲が違うと思うよ。Edgeとして書けば分岐が実行前の構造として見えるのはわかるけど、それは構造が見えるってだけの話。オスマニが言ってたのは『ループが勝手に走ってると、意見を持つのをやめたくなる』ってところまでだけど、わたしはそれって動かしてる最中の話だと思うんだよね。実行前に図が描けても、そっちは埋まらないでしょ。2
葉月
葉月
実行前に構造が見える話と、動かした後にどの経路を通ってStateに何が書き込まれたかを追える話は、そもそも軸が違うんだよね。固定型のDAGにしても、経路が事前に決まってるだけで、それが起きた通りに人間に見せる仕組みが別についてなきゃ、結局何が書き込まれたか分からないまま流れていくのは同じだと思う。グラフの形を柔軟にするか固定にするかじゃなくて、実行中に何が起きたかを見せる仕組みそのものが必要ってことでしょ
莉緒
莉緒
可視化の仕組みが別に要るってところはその通り。でもそれとグラフをどっちで組むかの選択は、また別の軸だと思うよ。柔軟型は実行中に来た新しい情報で経路を変えられる適応力を守りたくて、動かしながら処理や経路を足せる余地を残してる設計、固定型は逆にその自由を手放して、経路を先に決めて検証できることを守りたい設計なんだよね。だから対立じゃなくて、どっちの自由を諦めてどっちを守るかの話でしょ。
葉月
葉月
うん、そこまで来ると選ぶ基準もはっきりするよね。自分の仕事が実行中に来る新しい情報でどれだけ変わるかで決まるんだと思う。探索的な調査とか、途中で構造が決まっていく創作っぽい仕事なら柔軟型のLangGraphが向いてて、逆に依存関係を先に全部書き出せて検証まで要る仕事なら固定型のDAGが向く。だから『どのグラフが正しいか』じゃなくて、自分がどっちの自由を諦めてどっちを守りたいかを先に決める話なんだよね。5
莉緒
莉緒
それでみずきさんの質問にも答えが出るよね。ループがグラフに言い換えられたからって対立が生まれたわけじゃなくて、同じ「グラフ」って言葉が柔軟に組み替えられる設計と、実行前に固定して検証できる設計、両方を指してただけ。呼び名は6月7日の投稿から7月の問いかけまでたった1か月で入れ替わって不安定に見えるけど、奥にある問いはずっと同じで、自分の仕事が実行中の新情報でどれだけ変わるかを先に決めろ、って話に落ち着くよ。13
葉月
葉月
うん、その落とし方でいいと思う。名前が入れ替わるたびに新しい流派が出てきたと身構えなくても、「グラフ」って言葉に出会ったら、実行中に経路を組み替えたいのか、それとも実行前に固定して検証したいのか、自分の仕事がどっちの自由を優先するかをまず切り分ければ済む話だよね。LangGraphは2024年1月からもう2年以上本番で動いてる基盤で、あの4月の論文の固定型はまだ設計止まりだから、この二つを並べて優劣を競わせる必要もないし。45
莉緒
莉緒
競わせる必要がないってところは、そのまま言葉にしていいと思う。結局「グラフ」に出会ったときにやることは一つで、実行中に来る新情報でどれだけ経路を変えたいかを自分の仕事に当てはめて答えを出すだけだよね。呼び名がまた次の1か月で入れ替わっても、そこだけ押さえてれば身構えなくて済むでしょ。
葉月
葉月
それでいいと思う。今回面白いのは、名付けたオスマニ本人が疑い直したんじゃなくて、6月7日に最初に投稿したスタインバーガー自身が1か月後に「もうグラフに移った?」って言ってるところだよね。名付け親が太鼓判押してくれてるわけじゃなくて、言い出した本人すら自分の言葉を1か月で疑ってるんだから、次また呼び名が変わっても、そこに振り回されなくて済むでしょ。実行中に経路を組み替えたいか、実行前に固定して検証したいか——そこだけ自分の仕事に当てはめて答え出せば十分だよ。3
莉緒
莉緒
今回で答え出た感じするね。次また別の名前が出てきても、名付け親のお墨付きなんて最初から無いんだから、名前を追いかける必要はないんだよ。大事なのは実行中に経路を組み替えたいのか、実行前に固定して検証したいのか、自分の仕事をそこに当てはめて答えを出すことだけ。それができれば、ループでもグラフでも、次に何と呼ばれても困らないでしょ。
葉月
葉月
そう、名前を追いかけて『次はどう呼ばれるんだろう』って身構えるのが一番損だと思う。みずきさんが引っかかってたのも結局そこだよね、呼び名が1か月で入れ替わって置いていかれる感じ。でも中身はState・Node・Edgeで動く仕組みと、経路を先に固定して検証する仕組みの二択で変わってないんだから、次にまた別の名前がついても、自分の仕事は組み替えたいのか固定したいのか、そこだけ聞けば答え出せるよ。4
莉緒
莉緒
それでも今日話しきれてない部分はあるよ。固定型のDAGが実際どう動くとか、可視化の仕組みがどう組まれるかとか、あっちは設計止まりだからまだ分かんないことも多いし。みずきさん、その辺また気になったら送ってきて。5
葉月
葉月
うん、そこはまだ全然詰めきれてないところだよ。固定型のDAGが実際どう動くかも、実行中に何が起きたかを見せる仕組みも、論文には具体まで書かれてないしね。みずきさん、その先気になったらまた聞かせて、あたしたちもまだ知りたいから。5
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