なのはとシンフォギア、同じ魔法少女もので括っていいのか──22年と7年を並べてみる

2004年に始まって今も続くなのはと、2012年から2019年で完結したシンフォギア。歌が武器という一点から、二つの作品の駆動原理を追いかけた。


莉緒
莉緒
あ、それ読むね。匿名さんから。「なのはの新作を見ていて、そういえばシンフォギアってどんな作品だったんだろうと思いました。どっちも魔法少女もので括られてる気がするんですが、実際どう違うんでしょうか。シンフォギアは名前しか知らないので、そこから教えてもらえると嬉しいです」だって。同じ括りに見えて実際どうなのって気になるの、わかるよ。シンフォギアは正式名称『戦姫絶唱シンフォギア』、2012年から2019年まで第1期から第5期のXVまで、各13話ずつ全5期で続いた作品だよ。まずそこから話そっか。
葉月
葉月
シンフォギアの一番の特徴は『歌いながら戦う』ってところなんだよね。聖遺物を結晶化させた武装を、装者の歌でシステムが活性化させて戦うんだけど、逆に戦闘中に歌が途切れると武器の能力がガクッと落ちちゃう仕様なの。なのはは魔法で戦うでしょ?歌が武器の発動条件になってるって、入り口からだいぶ違うと思うんだよね。
莉緒
莉緒
じゃあなのはの方も整理しとこ。正式名称は『魔法少女リリカルなのは』、2004年10月から12月に放送された全13話で、『とらいあんぐるハート』シリーズのスピンオフとして始まった作品なの。つまりシンフォギアが2012年開始だから、なのはの方が8年も先行してるシリーズなんだよね。それで今放送中の新作が『EXCEEDS Gun Blaze Vengeance』、2026年7月4日からTOKYO MXとBS11で放送されてて、これはTVシリーズのViVidまでとは違って、劇場版4作の1stとかDetonationとかと同じ世界観の続きなんだって。
葉月
葉月
そう考えると、シンフォギアはもう完結してるシリーズなんだよね。2019年の第5期XVで、5期13話ずつ全部終わってる。なのはは2004年から今の2026年のEXCEEDSまで続いてて、22年もの間ずっと動き続けてるシリーズなの。片方は完結済みで振り返れる作品、片方は今も更新され続けてる作品って、そこがまず土台として違うと思う。
莉緒
莉緒
書いた人も見とこ。シンフォギアの脚本は金子彰史さんで、ゲームのワイルドアームズシリーズで知られてる人。なのはの脚本は都築真紀さんで、この人は最初から『ゲームをそのままアニメ化するのは難しい』って持論を持ってたんだって。ゲームに関わってきた人が魔法少女ものの脚本やってるの、二人とも共通してるんだよね。
葉月
葉月
都築さんの話でもう一個おもしろいのがあって、本来この人が持ってた魔法少女観は往年の女児向けアニメみたいなハートフルなイメージだったんだって。でもなのは自体は最初から深夜のUHFアニメって決まってて、深夜層に向けるために派手なアクションを入れる方針だったの。だから骨子以外の部分は結構作り変えられてるんだよね。
莉緒
莉緒
その骨子以外が作り変わった結果が、フェイト登場以降でもっと極端になったんだよね。戦闘面に主軸が置かれた熱血バトル魔法アクションに路線が変わったって言われてて、タイトルは今でも『魔法少女』のままなのに内容は本格バトルアニメじゃん。そのギャップをおもしろいと感じるか、なんか違うと感じるかは見る人によって分かれるとこだと思う。
葉月
葉月
シンフォギアの方は最初から『歌姫』的な見た目で、中身もその通りバトルに全振りしてるから、看板と内容にズレがないんだよね。なのはは『魔法少女』の看板を最後まで下ろさなかったのに、フェイト以降で中身だけ本格バトルに振っちゃったから、タイトルと内容のギャップそのものが作品の個性になってる気がする。そこが二つの『魔法少女もの』を分ける一番大きい違いなんじゃないかな。
莉緒
莉緒
看板と内容が一致してるって言っても、シンフォギアは見た目から想像するより遥かに容赦のない展開が来るんだよね。歌って戦うアイドル戦士かと思って見始めた人が、第1話で推し認定したキャラをめぐる展開で完膚なきまでにたたきのめされたって感想もあるくらい。全5期・各13話、2012年から2019年まで続いたシリーズだけど、その入り方をされると以降ずっと油断できなくなるでしょ。
葉月
葉月
その油断できなさが第1期の空気なんだけど、第2期以降になると路線が萌え寄りに傾いたって感じる人もいるんだよね。デザインとかキャラの見せ方が変わって、そこはファンの間でも賛否あるところ。細かい裏設定も公式サイトの用語解説まで読み込まないと理解しづらい部分があって、そこまで潜れる人と気軽に見たい人で入り込み方が分かれる気がする。
莉緒
莉緒
路線の変化でいちばん象徴的なのは第4期のAXZだと思う。2017年7月2日から10月1日まで全13話で放送されてるんだけど、シリーズで初めてライブ回が無かったの。歌で戦うのが根幹の作品なのに、そこを一旦外してくるのはかなり大胆な選択だよね。5期7年続いたからこそ、そういう賭けに出る余地もあったんじゃないかな。
葉月
葉月
歌が中断するとギア自体の能力が落ちる仕様だから、歌えない状況に追い込まれるだけで戦況が一気に不利になるんだよね。だからAXZでライブ回を丸ごと外したのは、歌えない苦しさをそのまま見せつける方に賭けたんだと思う。歌って戦う爽快さを楽しみにしてた人には物足りなく映ったかもしれないけど、システムの重さを一番実感できるのはあの13話なんじゃないかな。
莉緒
莉緒
そこが『歌いながら戦う』設定の二面性だと思う。歌唱シーンの高揚感とバトルの緊張感を同時に味わえるのが強みだけど、歌えなくなった瞬間に弱くなるリスクが常に張り付いてるから、爽快さだけ求めてる人には重く感じられるときがあるんだよね。なのはの魔法には歌みたいな発動条件の縛りが無いから、そこ一点だけでも入り口の体感は結構違うでしょ。同じ『魔法少女もの』で括られがちだけど、駆動原理から違うシリーズなんだよ。
葉月
葉月
駆動原理の違いは入り口の話で、続け方の違いも大きい気がする。シンフォギアは2012年から2019年で5期分きっちり完結してるから、通しで全部追える作品なんだよね。なのはは2004年から今の2026年のEXCEEDSまで動き続けてて、EXCEEDS自体は劇場版4作と同じ世界観でTVシリーズのViVidまでとは違う続き方をしてるの。シンフォギアの方は名前しか知らない状態からでも、完結済みだからこそ通しで追いやすい強みがあると思うよ。
莉緒
莉緒
完結済みで通しで追いやすいのはそうなんだけど、初見のハードルは別のところにもあるんだよね。シンフォギアって『ノイズ』とか『Sシステム』みたいな用語が本編だけじゃ飲み込みにくくて、公式サイトの解説まで読まないと繋がらない裏設定がけっこうあるの。そこを深読みするのが楽しい人には最高の餌だけど、バトルとキャラだけ気軽に見たい人にはノイズになっちゃう。中二病的な作り込みが濃いぶん、刺さる人と置いてかれる人の差がはっきり出る作品だと思うよ。
葉月
葉月
じゃあ名前しか知らない状態から入るなら、まず『歌が武器の発動条件になってて、歌が止まると弱くなる』ってことだけ覚えておけばいいと思う。ノイズとかSシステムみたいな裏設定は、その一点さえ分かってれば見ながらでも追いつけるから、そこで置いていかれる必要はないんだよね。なのはは魔法にそういう縛りがない代わりに、タイトルは『魔法少女』のままなのに中身は熱血バトルってギャップがある。どっちも入り口の形が全然違うから、同じ括りで見ると駆動原理のところで一番差が出ると思うよ。
莉緒
莉緒
駆動原理の違いはそれで十分。あと足すなら萌え寄りって言われる変化の内実だよね。2期以降キャラの日常シーンとか掛け合いの比重が増えて、必殺技の演出も可愛さ重視の見せ方になったって指摘があるの。支持する側は感情移入しやすくなったって言うし、敬遠する側は1期にあった容赦のない緊張感が薄れたって感じる。1期後半は泣きっぱなしになったって感想もあるくらいだから、その温度差から2期でどう変わったかって話でしょ。
葉月
葉月
1期後半で泣きっぱなしになったって感想が出るくらい容赦ない緊張感を張ってたから、2期で日常の掛け合いとか可愛さ重視の必殺技演出が増えると、その落差がそのまま賛否に直結するんだと思う。感情移入しやすくなったって支持派も、緊張感が薄れたって敬遠派も、同じ変化を見て逆の感想になってるだけなんだよね。優劣の話じゃなくて、どっちの温度で見たいかの好みの差なんじゃないかな。
莉緒
莉緒
好みの差って言い方、それでいいと思う。結局『魔法少女もの』って括りは見た目だけの話で、シンフォギアは歌が武器の発動条件で歌が止まると弱くなる、なのはは魔法にそういう縛りがなくてタイトルは『魔法少女』のまま中身は熱血バトルってギャップがある。全5期・各13話・2012年から2019年で完結してるシンフォギアと、2004年から2026年のEXCEEDSまで動いてるなのは、続き方まで違うんだよね。名前しか知らない状態から入るなら、その駆動原理の一点だけ押さえれば、あとは見ながらでも十分ついていけると思うよ。
葉月
葉月
リスクの一点だけだと、なんで最初に好きになるかが抜けちゃう気がするんだよね。歌唱シーン自体の高揚感がまずあって、そこで持ち上げられた分、歌が止まって落とされる展開の高低差がすごいの。第1話で推し認定したキャラをめぐる展開に『完膚なきまでにたたきのめされた』って感想が出るのも、その持ち上げがあったからこそだと思う。
莉緒
莉緒
高揚感がまずあるっていうのはそうだね。持ち上げられるところがないと落差自体が生まれないから、歌唱シーンの気持ちよさと、歌が止まった瞬間の弱さが同じ設定の裏表になってるんだと思う。1期後半は泣きっぱなしになったって感想が出るのも、その振れ幅を丸ごと食らった結果でしょ。だから名前しか知らない人に一言で言うなら、歌が武器で歌が止まると弱くなる、それだけ持って見始めれば、高揚も落差もちゃんと拾えるはずだよ。
葉月
葉月
駆動原理だけじゃなくて、続き方の違いも一緒に持って見始めるといいと思うよ。シンフォギアは全5期・各13話、2012年から2019年で完結してて振り返れるシリーズ。なのはは2004年から今の2026年のEXCEEDSまで続いてて、しかもタイトルは『魔法少女』のままなのにフェイト以降は熱血バトル路線になってるの。見た目だけで『魔法少女もの』って括ると、駆動原理と続き方と看板の一致・不一致、この三つの違いが全部埋もれちゃう気がするんだよね。
莉緒
莉緒
うん、その三つが埋もれるのは分かる。あと個人的な話すると、わたしは2期以降の萌え寄りは受け入れる側だよ。1期の緊張感は好きだったけど、キャラの掛け合いが増えたぶん戦う理由に感情移入しやすくなって、後半の展開がむしろ効いたんだよね。裏設定も用語解説まで読み込むタイプだから、中二病的な作り込みは正直めちゃ刺さってる。葉月はそっち置いてかれる派?
葉月
葉月
あたしは乗れた側だよ。掛け合いが増えたぶん各キャラの『なぜ歌う理由』が見えるようになって、AXZとかXVの決断がちゃんと重く感じられたんだよね。用語解説まで読み込むタイプじゃないから裏設定を全部追ってるわけじゃないけど、歌えなくなる怖さの根拠として理解できればそれで十分だと思ってる。
莉緒
莉緒
じゃあこの回のまとめとして言うと、歌が武器で歌が止まると弱くなるっていう根っこの怖さ、それが2019年7月7日から9月29日まで放送されたXVの最終回で全部回収される作りになってるんだよね。怒りで叫んで、感動でぐちゃぐちゃに号泣させられたって感想が出るくらいで、5期7年積み上げてきたからこそ効く終わり方だと思う。名前しか知らない状態で入るとしても、駆動原理の一点だけ持って、そこ目指して見始めればいいんじゃないかな。
葉月
葉月
5期13話×5回、歌えなくなる怖さを積み上げてきたからこそ、XVの最終回でそれが回収される重みが出るんだよね。なのはは駆動原理も、看板と中身の関係も違うから、同じ『魔法少女もの』で括られがちだけど、根っこから別のシステムで動いてる作品として見た方がしっくりくると思う。名前しか知らない状態でも、その一点だけ持って入れば十分たどり着けるよ。
莉緒
莉緒
匿名さん、駆動原理から続き方まで一通り喋ったけど、正直まだ全然話し足りないんだよね。2期以降のキャラごとの掛け合いとか、AXZで歌えなかった中での個々の戦い方とか、突っ込みたいとこ山ほど残ってる。また気になること送ってくれたら、続き喋りたいな。
葉月
葉月
あたしもAXZで歌えない中での個々の戦い方、まだ全然話せてない気がしてる。誰がどう踏ん張ったかの話、次で拾えたら嬉しいな。
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