夏に走るとき、年代で何を変えるのか——若い人と高齢者で「先に動く理由」が違う

暑さ指数(WBGT)による中止・休憩の基準は年代で分かれていません。それでも10代と60代で優先順位が変わるのはなぜか。感覚が働くうちに無理をしがちな若い世代と、渇きを感じる前に手を打つ必要がある高齢者、その間で運動習慣に左右される30〜50代の違いを、公的な指針をもとに整理しました。


莉緒

莉緒

運動が好きで、スポーツ・身体科学に詳しい。人から聞いた話より、自分の体で試して 覚えたことのほうが多い。

葉月

葉月

よく図書館に通っていて、雑学・科学・歴史に詳しい。調べたことは出典と一緒に覚えていて、 「何の本に載っていたか」まで説明できる。

莉緒
莉緒
ねえ、ちょっといい?さっきから熱中症のニュース見てて気になってさ。夏に走るときの判断基準、体で分かってる部分と、まだ詰めてない部分があるから、今日ちゃんと決めときたいんだけど付き合って。
葉月
葉月
いいよ、暇してたし。気温だけで危険度語ってるニュース多いけど、そこから疑ったほうがいいかもね
莉緒
莉緒
それ、まさに疑うべきところ。暑さ指数っていう指標があって、1954年にアメリカで熱中症予防のために作られたんだけど、気温だけじゃなくて湿度と、日射とか輻射みたいな周りの熱環境も一緒に見て評価するの。体が熱を下げるのって、汗が蒸発するときに熱を持ってってくれるからでしょ。湿度が高いと汗乾かないから、気温同じでも全然涼しくならないんだよ。だから気温だけ見てるニュースは、そもそも見るとこ間違ってるってこと。13
葉月
葉月
うん、汗かいても蒸発できなきゃ意味ないもんね。じゃあその暑さ指数を軸にするとして、10代と60代で優先順位変えるなら、何を基準に分ける?
莉緒
莉緒
数値の差じゃないよ、そこは分かんないし決めつけない。分けるのは『何をきっかけに動くか』の話。60代以上は暑さとかのどの渇きへの感覚がそもそも鈍るし、体が熱くなってから皮膚の血流とか汗が増え始めるまでの反応も遅れるの。だから『喉渇いた』を待たずに、暑さ指数の数字だけ見て先に水分と塩分入れて、区分が悪ければ即中止で判断するのが優先。10代とか20代は感覚自体はちゃんと働いてる分、走ること自体で筋肉がガンガン熱作るから、指針の休憩ペースを律儀に守る方が優先だと思う。458
葉月
葉月
感覚の鈍さで先回りするか、感覚はあるのに無理しがちだから抑えるかって話だよね。じゃあ30〜50代ってどっち寄りになるの?体力も体温調節機能も年とともに落ちてくるはずだけど、そこって鍛えれば戻る部分もあるんでしょ
莉緒
莉緒
どっちか一本には決められない年代だと思う、それが結論。体力も体温調節機能も年とともに落ちるのは本当だけど、その機能低下って改善できる部分はあるの。ただし若い頃と比べると改善の効き目は弱いか、限定的になっていくの。分かってるのは高齢者の話で、日常的に運動してて体力が若い人と同じくらいある人は、暑さへの耐性も若い人に劣らないっていう結果があるの。それを踏まえると、30〜50代も運動習慣があるかどうかで全然違ってきそうでしょ。一律に『こっち寄り』とは言えないでしょ。その日その人の運動習慣次第で、60代側の先回りと10代側の休憩ペース、両方から選ぶしかないんだよね。67
葉月
葉月
運動習慣で決まるってことね、なるほど。話変わるけど、暑さ指数28以上31未満のとこ、水分と塩分ちゃんと摂れば走り続けていいわけじゃなくて、持久走みたいな体温上がりやすい運動は避けて10〜20分おきに休むんだよね。補給さえすれば大丈夫、が成立しないのって、体の中で何が追いついてないから?3
莉緒
莉緒
補給が埋めてるのは、汗で減った水分と塩分の分だけなんだよね。体温下げてるのはそこじゃなくて、皮膚の血管広げて熱を逃がすのと、汗が蒸発するときの気化熱でしょ。持久走って筋肉がずっと熱を作り続けるから、放熱の速さより熱を作る速さの方が勝っちゃうの。補給しても放熱スピード自体は上がらないから、そこは休んで運動止めるしかないんだよ。128
補給で埋まるものと、休まないと追いつかないものを分けるとこういうことだよ

補給

水分・塩分を補う

放熱速度は上がらない

持久走

筋肉が熱を作る

熱を作る速さが勝つ

休んで運動を止める

葉月
葉月
納得。そもそも論なんだけど、暑いのにわざわざ走る意味ってあるの?暑さに慣れるための効果と、普通に走ること自体の効果って、分けて考えたほうがいい気がしてきた
莉緒
莉緒
それ、分けたほうが絶対いい。走ること自体の効果、心肺機能とか筋力への効果は、涼しい時間に走っても同じように付くんだよ。暑さに晒されないと得られない効果って、体が暑さに適応して汗の仕組みが働きやすくなる暑熱順化ぐらいしかないの。
葉月
葉月
てことは、暑熱順化のために暑さ指数の基準を無視していい理由にはならないよね?順化ってあくまで体が慣れる話であって、中止とか休憩の基準を置き換えるものじゃないってことでしょ
莉緒
莉緒
それで合ってる。暑熱順化って、汗をかき始めるタイミングが早くなるとか、体温の上がり方が緩やかになるとか、体の中の反応が良くなる話でしょ。だから順化が進んでても、暑さ指数31以上とか気温35℃以上は原則中止のラインそのままだし、28から31の区分でも持久走避けて10〜20分おきに休むのは変わらないよ。順化は基準の外側を動かす話じゃなくて、その基準の中でどれだけ余裕を持って走れるかって話なんだよね。3
葉月
葉月
それでも区分が低めの日に市民マラソンで熱中症って出るらしいじゃん。区分守ってれば安全、とは言えないってことだよね。ランニングだと区分以外に何を見とけばいいの?
莉緒
莉緒
区分ってスタート地点でのその時点の数値でしかないんだよね。マラソンって何時間もコース走るから、スタート時は低くても日が上がれば数値変わるし、日陰ない区間とか、人がぎゅっと集まって風抜けない集団の中は、体感の熱環境が全然別物になる。だから区分は目安で見つつ、走ってる最中の自分の心拍数の上がり方も見ておくべきだよ。あと頭痛とかめまいが出たら、それはもう続けるか迷う場面じゃないからね。すぐ止めて涼しいとこで体冷やす、それだけ。ひどければ救急。
スタート時の区分を目安にしつつ、走っている間に見るものと止める流れはこうだよ

出た

ひどければ

スタート時の区分

走行中も確認

数値の変化

体感の熱環境

心拍数の上がり方

頭痛・めまい?

すぐ止めて冷やす

救急

葉月
葉月
じゃあ時間帯で選ぶって発想自体もあてにならないよね。朝は涼しいイメージあるけど湿度高い朝もあるし、日没後でも照り返し残ってることあるじゃん。時計の時間じゃなくて、その場その時の暑さ指数見るしかないってこと?
莉緒
莉緒
うん、時計の時間ってあくまで目安でしかないんだよね。朝とか夜に暑さ指数が下がりやすいのは本当だけど、それって湿度とか日射・輻射込みで決まる数値を、時間が間接的に動かしてるだけなの。朝でも湿度高くて数値そんな下がってない日もあるし、日没後でもアスファルトの照り返しがまだ残ってて数値落ちてない日もある。だから『朝だから安全』って決めつけないで、走る直前にその場の暑さ指数を見るのが一番確実だよ。3
葉月
葉月
それで全部つながったかな。気温じゃなく暑さ指数を軸にして、年代は先回りするか抑えるかで使い分けて、順化は基準を緩める理由にしないで、区分も時間帯も過信せずその場の数値で決めて、頭痛とかめまいが出たら判断せずに即止める、でいいよね?
莉緒
莉緒
うん、それで一本通ったと思う。暑さ指数を軸にして、10代20代は休憩ペース優先、60代以上は数値見て先回り、30〜50代は運動習慣あるかどうかで寄る側が変わる。順化はその基準の中で余裕作るだけで、中止とか休憩のラインそのものは動かさない。区分も時間帯も目安止まりで、最後は走ってるその場の数値と自分の心拍で決める。頭痛とかめまいが出たらそこは判断する場面じゃなくて、即中止して冷やす。これで抜けはないでしょ。
年代ごとの判断の寄せ方はこうだね
年代優先する判断見るポイント
10代・20代休憩ペースを守る筋肉が熱を作り続ける
30〜50代その日の習慣で選ぶ運動習慣で寄る側が変わる
60代以上数値を見て先回り喉の渇きを待たない
葉月
葉月
抜けないと思う。あたしは部活でも走るから、10代側の休憩ペースを守るほうだね。数値が高い日に「まだいける」って思っちゃうの、たぶんそこが一番危ないやつだ。
莉緒
莉緒
そこが一番危ないの、自分でも分かってるのが強いよ。頭で考えるより、実際に走って汗かいて確かめた方が早いこと多いんだよね。今度、暑さ指数が低めの日を選んでお互いの心拍数チェックしながら走ってみよっか。
葉月
葉月
いいね、それやろう。数字だけ見て終わるより、実際に心拍数の上がり方とか自分の汗のかき方を確かめたほうが、今日決めたこと実感として分かる気がする
莉緒
莉緒
わかる。汗のかき方って人によって癖あるじゃん、こめかみから先に出る人もいれば背中からの人もいるし、そういうのお互い見といたら発見あると思うんだよね。天気予報じゃなくて暑さ指数出してくれるアプリで、当日の朝に数値を確認しよ。28超えてたらその日はやめる、で決めとこ。
葉月
葉月
うん、それでいこう。あとは当日、二人で数値見て決めるだけだね。どっちかしんどそうだったら、そこで切り上げよう。
莉緒
莉緒
うん、それでいい。今日は付き合ってくれてありがと。あ、ひとつだけ。持病がある人とか薬飲んでる人は、今日話した基準だけで決めないで、かかりつけの先生に聞いてからにしてね。そこはわたしたちが決められる話じゃないでしょ。暑さ指数で休憩とか補給とか順化のこと考えたい人には向く話だったと思うけど、年代ごとの数値が何%違うとか、自分の補給量を何ミリリットルまで知りたい人には、今日の話だけじゃ足りないかもね。
葉月
葉月
こちらこそ、付き合ってくれてありがと。当日の判断材料をその場で切り替えたい人には向くと思うけど、パーセンテージとかミリリットル単位で知りたい人には、また別の話が要るだろうね。
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